こんにちは。ビーグルコンサルティングの真鍋です。
近年、多くの企業で人手不足が深刻化しています。特に労働人口の減少により、採用活動がますます難しくなっている状況です。
帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)|株式会社 帝国データバンク[TDB]」によると、正社員について「人手が不足している」と回答した企業は51.4%、非正社員では30.0%にのぼります。

業種別に見ると、正社員では情報サービス、メンテナンス・警備・検査、建設業、非正社員では飲食業、小売業、人材派遣・紹介業など、いわゆる労働集約型の業種で不足感が顕著です。

注目すべき変化:旅館・ホテル業の改善傾向
一方で、「旅館・ホテル」などで人手不足感がやや緩和されているという興味深い報告もあります。
同様の傾向にある「旅館・ホテル」(51.8%)も含め、就業者数の多くを占める「非正規の職員・従業員」の数が回復していることや、スポットワーク・DXなどの普及が背景にあるとみられる。(帝国データバンク調査より)
たとえば、タイミーなどのスポットワークサービスや、旅館業界におけるDX導入(例:陣屋コネクト)がこうした改善の背景にあります。かつて労働集約的だった現場も、デジタルの力で仕組み化されつつあるのです。
DXとは「即戦力化の仕組みづくり」
では、DXとは何でしょうか。たとえば、マクドナルドの店舗では、新人でもすぐに仕事ができるよう業務が標準化され、マニュアルや役割が明確になっています。これこそがDXの効果の一例です。
みなさまの会社では、明日から来るアルバイトに、すぐ仕事を任せられる体制が整っていますか?
もちろん、最初は不慣れで時間もかかるかもしれません。しかし、「どのような業務を、どんな手順で、どんなツールを使って行うか」が明確になっていれば、属人的なノウハウに頼らず、再現性のある働き方が可能になります。
このように、「人が育つ環境を仕組みで支える」ことこそが、DXの本質です。
業務の再設計がDXの第一歩
仕組み化のためには、まず業務の整理が必要です。
- 特定の人にしかできない仕事は、「なぜ他の人にはできないのか?」を検討し、
- 誰でもできる仕事は、失敗しても被害が少ない構造を設計し、
- 困った時の相談先や、簡単な日報入力方法(例:LINEアンケート形式)などもルール化します。
ポイントは、「働く人が迷わない」こと。迷いが減れば、現場のストレスも軽減されます。迷わないから誰でも成果を上げやすくなります。働く人が働きやすくなるのです。
成果を見える化する仕組みへ
業務を仕組み化すれば、マネジメントの焦点も変わります。
従来のように「手順の細かい指示」ではなく、「どのような成果を上げたか」に注目することで、スタッフの自律性と意欲が向上します。
こうした運用を支えるのが、デジタルツールです。たとえば日報をLINEのフォームで収集し、自動的に集計すれば、情報が「蓄積され、分析され、活用される」資産に変わります。
人手不足を逆手にとる
DXを通じて仕事を標準化・再設計すれば、必要な人手そのものを減らすこともできます。結果として、人手不足の悩みが軽減し、人件費削減や生産性向上につながります。
まとめ
今回ご紹介したように、人手不足は単なる「危機」ではなく、「変革のきっかけ」でもあります。業界によってDXの進み方はさまざまですが、どの企業にとっても、今こそ業務を見直す好機です。
「人に頼らない仕事の仕組み」を整え、誰もが活躍できる環境づくり。
これが、今後の経営において最も重要な投資の一つになるでしょう。