こんにちは。ビーグルコンサルティングの真鍋です。
前回はjSTAT MAPに統計データをマッピングして地域を可視化してみました。統計情報を地図にマッピングすることで、例えば世帯数や人口などさまざまなデータが可視化されることがわかりました。
今回は、同じくjSTAT MAPを利用して人の移動距離について可視化してみたいと思います。
移動時間を可視化するメリット
商圏分析を行うときに重要なことはいくつかありますが、その中でも店舗等へ来店できるお客様はどこにいるのかということは極めて重要になります。これは、来店客数がお店に来ることができる客数(商圏人口)と来店頻度で表現できることからもわかります。

例えば東京タワーを例にとると、商圏は東京都へ観光に来る全国となり、非常に広い商圏となります。一方で、来店頻度は極端に小さく、毎年東京タワーへ観光に行く人は稀でしょう。
街のスーパーを例にとると、スーパーへ来店する人はスーパーの近くに住んでいる人です。場所によりますが、東京都では1時間かけてスーパーへ買い物に行くことはあまりなさそうです。一方で、スーパーへの買い物は週に2回~3回くらいは行くでしょう。
このように、店舗等においては来店頻度を高めるためにも商圏人口が重要になってくるのです。
人の移動時間
人が移動するとき、徒歩であったり、自転車であったり、自動車、電車などの手段を利用します。このうち、自社が提供する商品やサービスによって人の移動手段は異なります。
例えば、移動手段毎の平均速度は以下の通りとなります。
移動手段 | 平均速度 |
---|---|
徒歩 | 時速4~5km |
自転車 | 時速15~25km |
バイク | 時速40km |
自動車 | 時速30~50km |
しかし、これではよくわかりません。そこで、例えばスーパーまで買い物に行くとした場合の許容できる移動時間を含めて考えてみます。スーパーの場合は徒歩や自転車だと10分くらい、バイクや自動車では20分位ではないでしょうか。 |
移動手段 | 平均速度 | 許容できる移動時間 | 移動距離 |
---|---|---|---|
徒歩 | 80m/分 | 10分 | 800m |
自転車 | 10km/時 | 10分 | 1.7km |
自動車 | 30km/時 | 10分 | 5km |
そうすると、10分で移動できる距離は上記の通りとなります。都心など駐車場代が高い地域では徒歩や自転車による移動が多いでしょう。また、駅からの距離も重要になります。(この場合、駅の一日の乗降者数も重要になります。) |
一方で、自動車の保有台数が多い地域であれば移動距離は長くなり、商圏も広がることがわかります。
なお、小売業におけるおおよその商圏人口は以下の通りとなっています。
業態 | 商圏人口 | 商圏距離 | 移動手段 |
---|---|---|---|
コンビニエンスストア | 3,000~5,000人 | 500m以下 | 徒歩と自転車が中心 |
小型スーパーマーケット | 5,000~1万人 | 2km以下 | 徒歩と自転車が中心 |
大型スーパーマーケット | 1万人~3万人 | 2~5km以下 | 自転車と自動車 |
ドラッグストア | 2万人以上 | 2~5km以下 | 自転車と自動車 |
jSTAT MAPの到達圏・移動時間可視化機能の概要
商圏は業態毎に商圏距離が目安となりますが、人が移動するときには時間が基準となります。「あのスーパーまでは直線距離でxxkm」という会話をすることはなく、「あのスーパーまでxx分」が一般的です。つまり、移動は道なりに進む時間が実際に人の行動に影響するのです。
そこで、このような人の移動時間を地図にマッピングしてみたいと思います。例えば、千葉県流山市にある南流山駅から徒歩、自転車、自動車でそれぞれ10分の移動距離をマッピングしました。赤い線が内側から順に①徒歩、②自転車、③自動車となっています。

興味深いことに、③自動車は地図の南側にある松戸市は、橋がないことから移動が制限されていることがわかります。

実際の操作手順(スクリーンショット付き)
ここまでマッピングした結果を表示しましたが、ここからはマッピングする手順をご紹介します。jSTAT MAPはアカウントを作成しログインをしてください。アカウントの作成についてはは以下の記事を参照してください。
無料ツールで住所データを地図に可視化!jSTAT MAPの使い方と活用法【初心者向け解説】
地図の中心を設定する
まずは地図の中心となる地点を設定します。今回は千葉県流山市のJR南流山駅を中心に設定します。上部のメニューから 統計地図作成 をクリックして プロット作成 を選択します。

地図をクリックダイアログが表示されるので、グループ名を指定して次へボタンをクリックします。

地図クリックダイアログからプロット作成ダイアログへきり変わります。プロット作成ダイアログで①プロット名を入力して、②地図上の位置を指定してから③登録ボタンをクリックします。

これでプロットグループと地図の位置情報として南流山駅が作成されました。
移動時間に対応したエリアを設定する
次に、移動時間に対応した距離のエリアを設定します。上部のメニューから 統計地図作成 をクリックして エリア作成 を選択します。

エリア作成ダイアログでグループ名を設定して次へボタンをクリックします。

エリアグループが作成できたら、続いて表示されるエリア作成方法で 到達圏 をクリックして 到達圏(プロットグループ指定) を選択します。

到達圏(プロットグループ指定) では、以下の設定を行います。
- プロットグループには地図の中心として設定したグループを選択(①)
- 到達圏設定は種類に徒歩(②)
- 到達圏は第1到達圏に5分、第2到達圏に10分(③)
上記を設定して到達圏一括作成開始(④)をクリックします。

これにより、南流山駅から徒歩で5分圏内の範囲と10分の範囲に対応する2つのエリアが表示されます。

さいごに
今回は人の移動時間を地図に反映して可視化することを行いました。中心となる位置をわかりやすく駅に設定しましたが、店舗や観光地などを中心として、そこからの移動時間を表示すると、店舗等への同線を計画することに役立ちます。
みなさまのビジネスをより良くするため、地図を活用するきっかけになればと思います。